【デニムにも】ツイードジャケットについて調べてみました、2019【チノパンにも】
もう夏です。ということはその次は秋なわけです(当たり前だけど)。
80年代、秋の定番アイテムと言えば、そう、ツイードジャケット。当時のヤングアメリカン達が、ジーンズやチノパンの上にさらっと羽織り、マフラーをラフに巻いてNYの街を歩く感じ、それこそ「セント・エルモス・ファイヤー」や「恋人たちの予感」など、当時の映画の中でイヤと言うほど目にしました。ああいうアイビーリーグっぽいファションや、東海岸な雰囲気に憧れた方も多いと思います。
ということで、洋服のトレンドが80年代に寄ってきてる気がする今年こそ、自分に合ったツイードジャケットを見つけて街を颯爽と歩きたいものです。
が、そう簡単に行かないのがツイードジャケットの難しいところ。今ではあまり吊しで売られているのも見かけませんし、実は色々とこだわりポイントが多くて、安易な気持ちで手を出すと、3年B組の先生みたいになりかねません。
そこで、ツイードジャケットを買う際のポイントを幾つかまとめてみました。ツイードが分かってきた頃に後悔しないように、今一度みんなで確認してみましょう。
ツイードジャケットの魅力
これはなんと言ってもその風合いでしょう。ざっくりとした手触りとしっとりと身体になじむ着心地は、ジャケット以上、ハーフコート未満な便利アイテムだと思います。
そして暖かさ。90年代初頭のツイードジャケット・ブームの頃に体験した世代ならご存じだと思います。実際、僕も一時期着ていたのですが、冬でも襟元をマフラーなどで閉じてやれば、下はシャツでも寒さを感じることはありませんでした。厚みのある生地でモコつきそうですが、薄着でも大丈夫なので、それほどシルエットに響かなかった記憶があります。
極めつけが、防水性。毛糸の油分なのか、程よく毛羽立った表面のせいなのか分かりませんが、軽い雨なら、店について2,3回はたけば、水分は落ちてしまいました(本降りはさすがにダメですけど)。裏地などに水がかからなければ、すぐに乾くので秋口から春先まで、とっても重宝しましたね。
さらに付け加えるならば、シーズン毎に適度に柔らかく、身体にもフィットするようになるので、ジーンズや革ジャンのように「育てる愉しみ」もあります。
実際のツイード製造工程の映像がありました。ドイツ語ですが参考まで。
ちなみに、3年前くらいから、やたらとハリスツイードの小物を目にするようになりませんでしたか?ちゃんとしたジャケットやコートなら良いのですが、適当に被せただけのカバンやら、下手をすればディスカウントの小物にまで使われていて、なんだかとても残念な気持ちにさせられました。
※事の真相は東洋経済オンラインに掲載されていました。
確かにハリスツイードはロロピアーナやゼニアのような高級布地ではありません。19世紀のハイランドクリアランス(農民の大規模な追い出し)により、スコットランドのアウターヘブリデス諸島に追いやられたの農民が、生活の糧として作り続けてきた織物です。その後、その防水性とタフさから徐々に社交界にも広まり、現在では協会によって厳しい基準を設けて生産しているという、ある意味「叩き上げ」な生地。そこにはスコッチウイスキーと同じように、生産者の熱いスピリットと誇りが織り込まれていると、僕は思っています。
ツイードジャケットの定義と押さえるべきポイント
だからといって、闇雲に吊しのジャケットに手を出すと、ディテールや拘りの面で後悔することになります。最悪、「え?これツイードじゃないじゃん!」なんてことにもなりかねないなので、下記に示すような正式なツイードジャケットのディテールについて、事前に知っておいて良いと思います。
<<裏地>>
裏地についてはポリエステルとキュプラが一般的。前者は耐久性はあるが着心地で劣る、後者はその逆、と考えて差し支えないでしょう。
<<ボタン>>
ボタンは水牛の角製ボタンか、革製のくるみボタンが一般的です。ちょっとお高い買い物なので、なるべくならプラスチック製は避けたいところです。シングル3つボタン、真ん中がけが間違いないと思います。袖にもボタンがある物が、より正しいジャケットみたいです。
<<ポケット>>
これはその時々の流行によると思いますが、基本的に左右のポケットはフラップ付のパッチポケット(ポケット全体が外側から縫いつけられている)一択です。他は「コレジャナイ」感が半端ないので買わないと思いますが。胸のポケットは好みで。
<<ベント>>
お尻付近の切れ目のことです。種類としてはジャケットのそれに倣いますが、アイビーリーグを気取るなら、フックベントという、センターベントの上にある「割れ止め」がフックの形のように縫い込まれているものがオーソドックスでオススメです。
どこで買うのが良いの?
当時だと、ブルックスブラザースにラルフローレン、ニューヨーカーなど、アメリカブランドに人気がありましたね。今なら、J.Pressでしょうか。
ちなみに、かなりリーズナブルになったオーダーメイドですが、初心者にはオススメしません。あれはシルエットから芯地、縫い方まで全てを分かった上で手を出す上級者用です。仮に熟知していたとしても、完成品を見たらイメージと違った、なんて可能性もあります。それにツイードジャケットって、時代のモードからあまりにもズレていると強烈に野暮ったくなってしまう(経験あり)ので、そこら辺も加味すると、毎年微調整している老舗の吊しが一番無難で安心だと思いますよ。もちろん、試着無しなんて御法度です。
ツイードジャケットは、長く付き合える逸品
いかがでしたか。飽食の時代とも言われた80年代でしたが、長く、大切に付き合っていけるアイテムがまだ多く残っていました。今回はそんな時代の名残、ツイードジャケットについて調べてみました。この秋には、そんな華やかな時代の雰囲気と大人の落ち着きを身に纏って、街に繰り出してみましょう。背伸びしていたあの頃とは、違う景色が見えるかも知れませんよ。